孤独な神官はど田舎娘に愛を乞う
「よろしくお願いします。」

鈴英が頭を下げると、静玉は笑ってくれた。

(あ、やっぱり美人・・・)

「では鈴英様。昔、我が国が大干ばつの際に国を救った大神官のお話をご存知ですか?」

「うん。知ってる。」


学のない鈴英でもその話は聞いたことがあった。水を司る龍神が出てくるその話は、おとぎ話のように鈴英の村でも小さいころに誰もが聞かされる話だ。


「先ほどあなたをお選びになった大神官様こそ、その伝説の大神官の子孫に当たられる方にございます。大神官様は、龍神との約束を守るため、一人祭壇に祈りを捧げ続けなければならないのです。そしてその役目は代々、大神官の子へと引き継がれます。」

「ずっと祈っているの?」

「寝食以外の時間はずっとです。」

「一生?」

「いえ、一生とまではいいませんが。大神官になられてから、次の大神官へと引き継ぐまではずっとです。」

それを聞いて、鈴英はふと思い出す。さっき自分を指さしながら大神官は何と言った?


「へぇ………え?もしかして?」

「鈴英様はその神官の子を産む役目に選ばれたのです。」


「嘘でしょ!!」

「嘘ではございません。」
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