孤独な神官はど田舎娘に愛を乞う
「結婚はできます。」

「え?そうなの?でも神官様は結婚できないって・・・」

「里にお下がりになった後、結婚されれば良いのです。」


「え?里に下がるってどういうこと?私、これからずっとここで暮らすんじゃないの?」

「いいえ。3年以内に男児を授からなければ、お役御免でございます。それにたとえ男児をお産みになったとしても、その御子が一つの齢を迎えると同時に宮中からは去っていただきます。」

「・・・どういうこと?」


意味がわからないと思った。いや、理解することを頭が拒否していた。だが、そんな鈴英の想いは静玉には伝わらない。


「我が国を支える大神官様は孤独でなければなりません。よって母君は必要ないのです。」

「つまり、子どもは自分で育てれないってこと?」

「はい。」

「つまり、私は本当に子どもを産むためだけにここに連れて来られたってこと?」

「はい。」

鈴英は言葉を失った。そんなことがあるのだろうか。


鈴英の村でだって、嫁げば子どもを産むことを期待される。なかなか子どもが授からず、姑や舅から嫌味を言われることは珍しくない。だが、それでもこんな仕打ちは聞いたことが無い。自分で産んだ子を育てることも許されないなんて。
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