好きになってはいけないんだ。
「え…」
私は他に言葉も見当たらなくてただ呆然と教室のドアの近くに突っ立った。
驚きのあまり進めなかったって言った方が正しいのかもしれない。
そんな行き場のない沈黙を破ったのは瑛人がさきだった。
「悪い、ちょー情けねぇ
勉強してたんだよな。
誰もいないと思ってたわー。
なんか、ごめんな?」
泣いたあとの鼻を赤くして私を見ているその顔がなによりも泣いていたという証拠だった。
「いや、私こそほんとにごめん。
ちゃんと教室の中確認してからドア開けるべきだった。」
「いやいや、そんなことされたら1番はずいって!!
まだこうやってばれたことを分かった方がまじだわ!!」
無理やり笑顔を作って明るく見せる。
人が誤魔化す時って分かりやすいなーなんて状況に似合わないことを考えたりして。