好きになってはいけないんだ。
「……多分遅刻なんだろうけど朝練頑張ってね!」


頑張ってね、はえいとが怒ってる時に怒りを沈める魔法の言葉。
頑張ってね、って言葉を彼女に言われたいだなんて前も話してたっけ。


「おう!」


そういってニカッと笑って体育館の方に走り去るえいとの後ろ姿を見送る。


そう、私はこうやってニカッて笑ったえいとの顔が大好きなんだ。


「朝から拷問お疲れ様」


「うん、ほんと人の気もよく知らないで、酷いよね……」


友達には私が片思いしてる、とだけ伝えてある。


瑛人と私の秘密は親にも友達にも誰にも言っちゃいないんだ。


その秘密がある限り私は片思いを実らせることは出来ない。


「顔火照ってるよ?」


「うわあ、まじか!」


確かに頬に手を当てみると少し暖かい気もする。


笑顔にやられた今日この頃。


私麻梨音は瑛人に絶賛実らない片思い中です。
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