仕事も恋も効率的に?
手を洗い終えてそばに来るみちを、隣に座らせる。
『どうされましたー?』
『あ、あぁ...。これ、わかるか?』
ピランと出された紙を見て、ヒッ...て顔をするのを見て安堵する。仲間がいた...笑。
『...見たくないやつでした...』
どこからこんなに集まったのか、管轄所在不明の物品一覧。それも、うちにあるらしいが、モノがないのだ。
あるはずなのに、無いものリストだ。
行政のあるある事情なのだが、赴任して早々これは嫌なものだ。
『だいたい、どこからの貸与なんです?これ。管理がなってないからこうなるんですよ...。台帳なんてないじゃないですか』
デスクから同じ書類を持ってきて、隣に座りながら、長い脚を組み、ため息をつく。
『な?わかるよ、わかる。あるはずなのはない。それでさ、こっちの、あるはずで、ある台帳に、亡くしたって書いてるのあるじゃん?』
『えぇ』
ガラッと引き出しを開けて、ニコニコ見せるコウさん。これはまずい!!足元の引き出し目がけて、自足で閉めようとしてしまう。
『まったまった...』
ヒールをひっかけていた足首を掴まれ、勢いよく閉じる予定だった引き出しが、カララっと半分程閉まる。
『まーて。これは、俺たちしか知らないの。わかる?』
『...わかりました...』
数日前、亡くされた機器類の処理の流れを、グダグダと田丸さんに説明され、国への報告が済んだばかりのブツが、目の前にあるのだ。
発狂しそうになる。
いや、本来ならあって良かったのだが、亡くしましたごめんなさい!と通知を出しているのに、みつかりましたー!って報告も、吐き気がする程めんどくさいのだ...。
『だーかーらー、俺だけの秘密ね』
掴んだ足首をプラプラと揺らされながら、はい、としか言えない...。
『それにしても、もう少し太ったらどうだ?折れそうだぞ』
『んなっ...これ以上太ったら手に負えませんよ、自分が』
ぷりぷりとしながら、離して!と怒るみちをみて笑う。
長くて細い足。高めのヒールなのに、苦でもなさそうに履きこなす。スカートの裾がチラチラとして、ちょっとドキドキする。
『んもう、困りましたね、もう』
スルッと手をどかされて、手持ちぶたさに浮遊する手をどうしようか悩む。
『とりあえず...見なかったことで』
スタスタと自席に戻り、仕事に戻る姿を見て寂しいような。
ボーッと後ろ姿を眺める。
柔らかそうな髪、細い腰、長い脚。好みなんだよな、...と何時までも見ていたくなる。
就業チャイムがなり、ボチボチと帰り支度をする。
珍しく、遅れて作業していたらしいみちと帰りが一緒になる。
自然と並んで帰れることに嬉しくなる。
他愛もない会話なのに、そばに居る感覚が心地いい。
エレベーターが開くと、そこそこの満員感。
なんとか乗せてもらい、後ろで1階につくまでまつ。
おっさんぎゅうぎゅうより、みちと2人で乗ればよかった...、ちょっと後悔したのもつかの間。各階停車の満員エレベーターになる。
『っ...』
『大丈夫?』
『なんとか...』
後ろ後ろに押され、定員オーバーじゃないの?ってくらいの人数が入る。
同じ階に止まった向かいのエレベータも満員だ。
ぐんっと、前の人が下がってきて、もう降りたいと思えば、目の前にコウさん。
『...もーちょいだからね』
あまり押されないように、前の人と空間を保つように間に入ってくれる。
満員でおっさんに潰されそうなみちの間に入る。壁際で逃げようもないのだから、俺が入らないと確実に押しつぶされる。
ふわっと、香る香り。
いつも近づくと香るローズの香りと、少し甘い香りは髪から。
思わず、腰に手を回してしまう...。
『...!』
驚いた顔も可愛いなとつくづく思う。
周りに気付かれないように、壊さないように、距離が縮まる。
1階でございます。
無機質な案内音声に、バタバタと降り始める周り。
『っありがとうございます』
『いいえ?笑』
恥ずかしそうにしながらも、隣を歩いて庁舎を出る。
本当は手を繋ぎたいけど、ちょっと勇気が足りない。
俺がもうちょい若ければな...と思う 笑。
『佐川さん?どしたの??』
そんなこと思っていたら、ふいに視界に入る。
『ん、なんでもないよ』
クシャッと頭を撫でてしまう。
『??』
『さて、冷えてきた。帰るぞ』
『はぁい』
心做しか二人でいる時のみちは気を許してる、そんな気がする。
もっと踏み込んでしまいそうだ...。
モヤモヤしながら、お互いの駐車場まであと少しだ。
『どうされましたー?』
『あ、あぁ...。これ、わかるか?』
ピランと出された紙を見て、ヒッ...て顔をするのを見て安堵する。仲間がいた...笑。
『...見たくないやつでした...』
どこからこんなに集まったのか、管轄所在不明の物品一覧。それも、うちにあるらしいが、モノがないのだ。
あるはずなのに、無いものリストだ。
行政のあるある事情なのだが、赴任して早々これは嫌なものだ。
『だいたい、どこからの貸与なんです?これ。管理がなってないからこうなるんですよ...。台帳なんてないじゃないですか』
デスクから同じ書類を持ってきて、隣に座りながら、長い脚を組み、ため息をつく。
『な?わかるよ、わかる。あるはずなのはない。それでさ、こっちの、あるはずで、ある台帳に、亡くしたって書いてるのあるじゃん?』
『えぇ』
ガラッと引き出しを開けて、ニコニコ見せるコウさん。これはまずい!!足元の引き出し目がけて、自足で閉めようとしてしまう。
『まったまった...』
ヒールをひっかけていた足首を掴まれ、勢いよく閉じる予定だった引き出しが、カララっと半分程閉まる。
『まーて。これは、俺たちしか知らないの。わかる?』
『...わかりました...』
数日前、亡くされた機器類の処理の流れを、グダグダと田丸さんに説明され、国への報告が済んだばかりのブツが、目の前にあるのだ。
発狂しそうになる。
いや、本来ならあって良かったのだが、亡くしましたごめんなさい!と通知を出しているのに、みつかりましたー!って報告も、吐き気がする程めんどくさいのだ...。
『だーかーらー、俺だけの秘密ね』
掴んだ足首をプラプラと揺らされながら、はい、としか言えない...。
『それにしても、もう少し太ったらどうだ?折れそうだぞ』
『んなっ...これ以上太ったら手に負えませんよ、自分が』
ぷりぷりとしながら、離して!と怒るみちをみて笑う。
長くて細い足。高めのヒールなのに、苦でもなさそうに履きこなす。スカートの裾がチラチラとして、ちょっとドキドキする。
『んもう、困りましたね、もう』
スルッと手をどかされて、手持ちぶたさに浮遊する手をどうしようか悩む。
『とりあえず...見なかったことで』
スタスタと自席に戻り、仕事に戻る姿を見て寂しいような。
ボーッと後ろ姿を眺める。
柔らかそうな髪、細い腰、長い脚。好みなんだよな、...と何時までも見ていたくなる。
就業チャイムがなり、ボチボチと帰り支度をする。
珍しく、遅れて作業していたらしいみちと帰りが一緒になる。
自然と並んで帰れることに嬉しくなる。
他愛もない会話なのに、そばに居る感覚が心地いい。
エレベーターが開くと、そこそこの満員感。
なんとか乗せてもらい、後ろで1階につくまでまつ。
おっさんぎゅうぎゅうより、みちと2人で乗ればよかった...、ちょっと後悔したのもつかの間。各階停車の満員エレベーターになる。
『っ...』
『大丈夫?』
『なんとか...』
後ろ後ろに押され、定員オーバーじゃないの?ってくらいの人数が入る。
同じ階に止まった向かいのエレベータも満員だ。
ぐんっと、前の人が下がってきて、もう降りたいと思えば、目の前にコウさん。
『...もーちょいだからね』
あまり押されないように、前の人と空間を保つように間に入ってくれる。
満員でおっさんに潰されそうなみちの間に入る。壁際で逃げようもないのだから、俺が入らないと確実に押しつぶされる。
ふわっと、香る香り。
いつも近づくと香るローズの香りと、少し甘い香りは髪から。
思わず、腰に手を回してしまう...。
『...!』
驚いた顔も可愛いなとつくづく思う。
周りに気付かれないように、壊さないように、距離が縮まる。
1階でございます。
無機質な案内音声に、バタバタと降り始める周り。
『っありがとうございます』
『いいえ?笑』
恥ずかしそうにしながらも、隣を歩いて庁舎を出る。
本当は手を繋ぎたいけど、ちょっと勇気が足りない。
俺がもうちょい若ければな...と思う 笑。
『佐川さん?どしたの??』
そんなこと思っていたら、ふいに視界に入る。
『ん、なんでもないよ』
クシャッと頭を撫でてしまう。
『??』
『さて、冷えてきた。帰るぞ』
『はぁい』
心做しか二人でいる時のみちは気を許してる、そんな気がする。
もっと踏み込んでしまいそうだ...。
モヤモヤしながら、お互いの駐車場まであと少しだ。