Aliceーアリスー
「アリス。僕のアリス。ずっとここへいよう。ずっと一緒だよ。もう離れないからね」
「もちろんだよ、白ウサギ」
白ウサギが本当に、本当に嬉しそうな声を出し、私を離さないと言わんばかり強く抱きしめる。私もそれに答えるように強く、強く、もう二度と白ウサギを離さないように抱きしめ返した。
これでハッピーエンド。
…だけど脳裏に何か、輪郭のない、不確実なものがよぎる。
それが何なのか私にはわからない。
だけど声だけがはっきりと聞こえるのだ。
「アリス!どうして!?どうしてなの!?」
「あの世界は君を壊したじゃないか」
「僕は君を救いたい一心で血の滲むような努力をしてきたんだよ」
「許さない、許さないよ」
「だから、もう一度だよ、アリス」
それは全部白ウサギの光を失った絶望に満ちた声だった。