Aliceーアリスー
「で、でー?新しい計画って何ー?」
世界のことについて改めて考えているとワクワクした様子でチェシャ猫が私に話を振った。
ここへ来る前からお預けをしていたのでチェシャ猫は相当私の計画が気になっていたようだ。
「あー。実はね、女王様のお城の向こうの森に大きな竜がいるって聞いたことあるでしょ?そこには迷路のようなダンジョン?みたいなところがあるらしくて。そのダンジョンに行きたいのと、竜を見てみたいと思っているんだけど…」
「なるほど情報が曖昧だからしっかり計画を練って万全の体制で行きたい、と」
「そう!そこで帽子屋の力を借りたいんだ!」
説明の途中でちらりと帽子屋を見れば帽子屋はすぐに私の欲しい答えをくれた。
さすが帽子屋!よくわかってる!
「知識の豊富さで言ったら帽子屋の右に出る奴はいないもんねぇ」
なるほどー、とチェシャ猫も納得している様子だ。
「我が屋敷に膨大な量の書物が保管されている書庫があるのだが、そこに何か情報がありそうだ。前にその竜について触れている本を見たことがある。三月ウサギ!」
流れるように言葉を発すると帽子屋はそのままの流れで三月ウサギの名前を呼ぶ。
「らんだお」
すると口にお菓子を含んだままおそらく「なんだよ」と答えた三月ウサギがお菓子から帽子屋に視線を移した。
「手伝って欲しいことができた。書庫での本探しだ」
「げぇ。書庫ってあの本が無限にある部屋だろ?嫌だぜ、頭が痛くなる」
「毎日タダで大量のお菓子を食べ、毎日タダで帽子屋屋敷に宿泊している三月ウサギに選択権があるとでも?」
「や、やってやるぜ!もちろんヤマネもだ!」
ニコニコ笑ったまま、もちろん目は笑っていない帽子屋に脅される形で本捜索をすることになった三月ウサギと巻き込まれてのヤマネ。
まあ、帽子屋の言葉的におそらく同じことを言ってヤマネにも手伝わせる気満々だっただろうが。
興味のない本探しはさすがに面白くないだろうから私の目的を三月ウサギにももう一度伝えておこう。
「三月ウサギ」
「なんだよ、アリス」
「本探しなんだけどね、女王様のお城の向こうにある森にいる竜が見たくてその情報を探す為の本探しなんだ」
「へぇー、竜ね」
「あとそこに行くまでがダンジョンみたいになっているとかで…」
「ダンジョン?」
「あー、ダンジョンって言うのは迷路みたいなもので罠があったり、魔物?みたいなものに襲われるから戦ったりする所なんだけど」
「なんだそれ!面白そうだな!」
最初こそ全く興味が無さそう…むしろお前のせいか!て恨めしそうな目で私を見ていた三月ウサギだったがダンジョンには興味が湧いたようで目をキラキラさせながらこちらを見て来た。
the男の子っ感じの反応だ。