Aliceーアリスー
ちなみにチェシャ猫も「何それ!ダンジョン面白そう!」てすごく興味を示していた。
「さて、今日が終わればまた明日も今日が来る訳だが、それでも時間が惜しい。早速情報収集の一環として書庫に向かおうか」
すくりと帽子屋が綺麗な所作でその場から立つ。そしてそれが合図のようにチェシャ猫、三月ウサギ、それから寝ていたヤマネは三月ウサギに叩き起こされてその場から同じように立った。
ちなみに、ヤマネが起きた時のいつもの流れ、
「うわ!チェシャ猫がいる!た、食べられる!」
「クククッ!ヤマネほっんとーに美味そうだね。いつ食べてやろうか」
「嫌ぁぁぁっ!死にたくないぃぃ!」
ももちろんあった。
顔面蒼白で死にそうなヤマネに思いっきり意地悪な顔をしてニヤニヤ笑うチェシャ猫。ヤマネが非常にかわいそうである。
「帽子屋!」
「なんだい?アリス」
このままでは本捜索が始まりそうな流れだったのでは私はみんなと同じように席を立ち、帽子屋に慌てて声をかけた。
本捜索をしたい気持ちは私も山々だが今日はこの後白ウサギの所へ差し入れを持って行く約束をしている。
そう帽子屋に伝えた。
「ならアリスは本捜索はいいから、その代わりお城で情報収集に努めてくれるかい?こちらでは見つからない情報がきっと見つかるはずだ。もちろん時間があればで構わない」
「わかった。やれるだけやってみるね」
優しく笑ってならばとすぐに案を提案してくれる帽子屋に私は大きく頷く。
女王様の時間があれば女王様に聞いてみよう。
「ところでアリス」
「?」
「君は今幸せかな?」
帽子屋がまた優しく笑う。だけどその笑顔が優しさだけではないような気がして違和感を覚える。
何かを探るようなそんな瞳。