Aliceーアリスー





「へぇ、アリスって言うんだ。ねぇねぇもっと面白いもの見せてよ」


楽しそう私を見つめてチェシャ猫が笑う。

この状況で美少年に腰をホールドされてドキドキしない女子高生なんているのだろうか。


私はうるさすぎる心臓に心の中で「静かになれ!落ち着け!」と何度も何度も叫び立てた。


「私はね白ウサギを追ってここへ来たの。チェシャ猫は白ウサギがどこへ行ったか知ってる?」


何とか平静を保ちながらも今聞きたいことをチェシャ猫に質問する。


「あとそれから元の世界への帰り方も聞きたいんだけど」


質問したいことは山積み。


白ウサギはどこ?元の世界への帰り方は?ここは一体どこなの?地球の裏側なの?ブラジルなの?


頭の中で質問を整理するよりも早く疑問が口から出てしまう。


「うーん、白ウサギの行方は知らないな。それよりも俺は〝元の世界〟って話の方が興味あるね」


チェシャ猫が私の腰を持ったままムクリと体を起こす。


改めてなんだこの態勢。


「元の世界って言うのは言葉の通り元の世界だよ。私が生きていた世界。ここはブラジルで合ってる?」


かなり長く落ちていたからここは日本の裏側、ブラジルなのかも知れない。

そう思ってチェシャ猫を見つめると「ブラジル?」と不思議そうな表情を浮かべていた。

そのリアクションはブラジルを全く知らないリアクションだ。





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