Aliceーアリスー





「こんにちは。私はアリス。白ウサギを探しているんだけど帽子屋は白ウサギがどこへ行ったか知らない?」


「おや、これは驚いた。お嬢さんは私の名前を知っているのかい?」


「もちろん」



私としては自己紹介なんてしなくても知っているからさっさと白ウサギの情報を帽子屋から聞き出したかったのだが、帽子屋はそうじゃなかった。


私が帽子屋のことを既に知っていることに興味が向いたらしい。



「それは何故なのか聞いてもいいかい?」



帽子屋はそう言って興味深そうに私を見つめてきた。


うっかりまだ自己紹介が終わってないのに〝帽子屋〟とか呼ぶんじゃなかった。



少し……いや、かなりめんどくさいなと思いながらどう説明すればいいのか考える。

本当のことを言えば絵本で読んだことがあるからなのだが、今目の前で生きてる当人たちからしたら何のことやらって感じだろうし、正直に答えるのも違う気がする。



「そう言えばアリス、俺の名前も初めから知っていたよね」



考えに考える私の横でチェシャ猫も考える私に更に追い打ちをかけるように興味深そうに私を見つめる。


ど、どうしよう!

なんて答えるのが正解なの!?








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