Aliceーアリスー
「さて、アリスはミルクティでいいかい?」
挨拶もひと段落ついたと判断したらしい帽子屋がにっこりと微笑み、慣れた手つきでカップにミルクティを注ぎ出す。
「ま、待って!私、お茶なんてする気ないよ!?早く白ウサギを追いかけないと!」
だがしかし今の私は全く持ってお茶なんて求めていないのですぐにそれを断る。
ここへ来たのはお茶をしにではなく、白ウサギや帰る情報を得るため。
決してのんびりしに来た訳ではない。
「何を言っているんだい?君はお茶をしにここへ来たのだろう?」
「違う違う違う!私は帽子屋に聞きたいことがあってここへ来たの!」
「だからそれはつまりお茶をしに来たってことじゃないか」
「は、はい?」
私も帽子屋もお互いの言っている意味がわからないと言った感じで首を傾げる。
全く持って会話が噛み合っていない。
「ここはお茶会会場だよ?お茶をせずに何をするんだい?」
「…………」
帽子屋のお茶第一思考に呆れてしまい最後には言葉を失ってしまう。
そう言えば不思議の国のアリスに出てくる帽子屋は気が狂っているって言われていた気がする。
これは気が狂っていると言うよりかはお茶狂だけど。
お茶狂だ、お茶狂。