Aliceーアリスー





「あぁ、あれ。あの方が可愛くて追いかけたくなるでしょ」



と、にっこり今度は可愛らしい笑顔で答えが返ってきた。


つ、つまり、朝の白ウサギは私に白ウサギを追わせる為にただ猫かぶっていた偽りの姿……と。



「……ねぇ、じゃあ、どうして私に白ウサギを追わせたの?あとここはどこ?帰り方は?」



白ウサギのギャップの原因はわかった。

今度の質問はずズバリ真打だ。


白ウサギに会ったら……白ウサギに追いついたら必ず聞こうと思っていた質問を私はどんどん口に出していく。


この世界での疑問は尽きない。



「アリスは何も知らなくていい。ただこの世界を楽しんでいればいいんだよ」



だけど返ってきたのは疑問に対する答えではなくて。


白ウサギはもう乾ききった頬の涙をもう一度拭うように私の頬に触れて優しく微笑んだ。



「僕はアリスに幸せになって貰いたいんだよ」



月明かりに照らされてその笑顔は輝きを増す。


だけど少し寂しそうに感じてしまうのは何故?









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