Aliceーアリスー
「私は〝アリス〟じゃないけれど、ここでなら本物の〝アリス〟になっていつかハッピーエンドを迎えられる気がするんだよね」
そうそれはまさに絵本の中の世界のように。
「ふーん。じゃあ、やっぱりアリスは変だよ。どうしてこんなにもここが好きなのに帰り方を知りたいの?僕なら好きな夢を見た時は例えそこが僕の住む世界じゃないのだとしても覚めたくない、帰りたくないって思うよ」
「これは夢じゃなくて現実だからね……」
「じゃあ、アリスはアリスを待つ誰かの為に帰りたいとか?」
ヤマネが尽きない疑問を不思議そうに私にぶつける。
その姿はまるで昨日の私自身を見ているようでもあった。
「私を待っている誰か?」
それは一体誰だろう。
ヤマネの疑問に答えようと必死で頭を回転させる。
でも……