Aliceーアリスー
これはあれだ。
〝不思議の国のアリス〟でも出てくる場面だ。
庭の白薔薇を赤くして赤い薔薇にしないとハートの女王様に首をはねられるって話。
と、言うことはこの人達はこのお城の庭師?
「どうして薔薇を塗っているの?」
だけどそれは絵本では、の話。
ここでは違うかもしれない。
そう思って私は足を止め、絵本のアリスと同じように庭師らしき男の人達に声をかける。
すると。
「赤い薔薇でなければ女王様に首をはねられる!」
と全く予想通りの答えが返ってきた。
「じゃあ、私も手伝「何で白い薔薇があるのかしら?」
庭師の話を聞いて手伝おうとした私の声を威圧的な女の人の声が遮る。
この威圧的な声、そして何よりもこのタイミングでの登場、まさか……。
「「「じょ、女王様!」」」
私が気づいて声を出すよりも早く庭師達が一斉に恐怖で支配された声を上げ、固まる。
庭師たちの視線は私の後ろ。
私は女王様の姿を確認する為に恐る恐る後ろを振り返った。