Aliceーアリスー




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『クソ大会だ!ボールはハリネズミだし、クラブはフラミンゴだし、アーチはトランプ兵だし!』


これは昨日三月ウサギがクロッケー大会について私に教えてくれた言葉。

今目の前に広がる光景がまさにそれ。


手に持たされているのは鮮やかなピンクのフラミンゴ。

そこに転がっているのがブルブル震えながら丸くなっているハリネズミ。

そして当たり前のように両手をついて四つん這いになっているたくさんのトランプ兵。


まさに狂気。

だけどフラミンゴもハリネズミもチェシャ猫たちのように人間の姿ではなかったのでそれだけが唯一の救いだった。

いや、動物でも充分狂気なんだけど。

こんなのフィクションだから面白いんだよ。


「ようこそ、私のクロッケー大会へ。今日は存分に楽しみましょう」


女王様が挨拶をすると周りからパチパチと拍手が起こる。

クロッケー大会の庭にいるのは帽子屋たち以外にも、貴族のようなきらびやかな格好をした人が数十名ほどいた。







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