Aliceーアリスー
そこに1番の目的の白ウサギの姿はない。
「では私から」
白ウサギの姿を探す私なんて余所に女王様が大きくクラブと言うフラミンゴを振り上げる。
ボコッ
「「……っ!」」
鈍い音と共に思いっきりぶつかったフラミンゴとハリネズミが痛みに声を殺しながらも表情を歪ませ、ハリネズミはコロコロとトランプ兵のアーチの元へ転がっていく。
「素晴らしい」
「さすが女王様だ」
それを見てどう考えてもそんなことを発している場合ではないのにこの会場の人達は気が狂っているのかパチパチと鳴り止まぬ拍手をし、女王様をこれでもかと言うほど称え始めた。
おかしい。
やっぱり、こんなことおかしい!
「落ち着いて、アリス」
「……っ!帽子屋!」
今にもクロッケー大会に乱入し暴れ出しそうな私を左手でそっと帽子屋が制止する。
「ハートの女王はここでは絶対、誰も逆らうことを許されない。死にたくはないだろう?」
「で、でも……っ」
「気持ちは私も痛い程わかる。だが、三月ウサギも必死に堪えているんだ。だから堪えて」
なかなか引こうとしない私を落ち着かせようと帽子屋はゆっくりと前を見据えたまま私に声をかけ続け、最後に三月ウサギの方へ視線を移す。
私も帽子屋に釣られる形で三月ウサギの方へ視線を移した。
するとそこには……