Aliceーアリスー
だけどどうにか帽子屋から逃れないと。
目の前でみんな笑っている。
フラミンゴとハリネズミだけが今にも死にそうな表情を浮かべているというのに。
狂っている。
こんなのおかしい。
「……」
ねぇどうすればいい?
私は帽子屋から逃れようとすることを一度辞め、目を閉じて深く考える。
この会場で私の味方になってくれる人は誰?
私1人ではどうすることもできない。
誰かに協力してもらはないと。
私は今、〝不思議の国の〟アリス。
榊原アリスではない。
ねぇ〝不思議の国の〟アリスならどうする?
一か八かだけどこんなことに答えてくれそうなのはこの会場できっと1人だけ。
「チェシャ猫ぉ!面白いことしたくない!?」
1人の唯一頼れるかもしれない人物に私の呼びかけが届くように大きな声で私は叫んだ。
すると……