Aliceーアリスー
何でウサギが喋っているの?
今は夢ではないはずなのに。
ぐるぐるぐるぐる頭の中をたくさんの疑問がただただ回る。
意味なんてない。
考える力もない。
ただ言葉が頭の中で溢れて、消えていく。
「アリス。大丈夫。何も考えないで。もう一度目を閉じて」
そんな私を見て白ウサギは私を落ち着かせようとゆっくりと言葉を発した。
「……う、うん」
何もできない、何も分からない。
だから私は考えることをやめて白ウサギの言葉に従おうとする。
だけど……
「い、嫌」
閉じかけた瞳をもう一度大きく開けた。
現実から目を背けない。
私は〝本当〟が知りたいから。
「ねぇ、教えて、白ウサギ。これは夢なの?現実なの?この赤は何?」
考えることを放棄すれば〝本当〟が見えることなんてきっと一生ない。
先程までただ意味もなく頭の中で回り続けていた言葉をおそらく答えを知っている白ウサギに私はぶつけた。