Aliceーアリスー




「アリス、アナタは本当に可愛らしいわね。先程は子ウサギのように怯えていたのに今では子犬のようにキャンキャンと勇敢に鳴く。あぁ、観ていて飽きないわ。なんて愛らしいこと」


裁判所に入った時、この女王様は明らかに不機嫌だった。だが、今はどうだろう。この状況を楽しそうに見つめている女王様の機嫌は明らかにいい。

〝不思議の国のアリス〟の女王様はどんなことでもすぐ死刑とし、首をはねていた。
だが、もしかしたら今の女王様なら死刑を免れるかもしれない。


「アリス」

「……っ!」


すぐ後ろから私にだけ聞こえるように囁かれた私の名前。私はこの声に聞き覚えがあった。
振り返ればそこにいたのは私がこの世界に来てずっと探していた人物が立っていた。


「白ウサギ!」


驚きのあまりその人物の名前を呼ぶ。


「なんて顔しているの?そんなに僕に会いたかったの?」

「当たり前じゃない!アンタには聞きたいことが山ほどあるのよ!」


フフッとおかしそうに笑う白ウサギに私は怒りの声を上げた。
説明させたいことがこちとら数えきれないほどあるのだ。


「白ウサギ?小娘、貴様は一人で何を言っている?気でも狂ったか?」


白ウサギに怒っていると中年男性が不思議そうに……いや、奇妙なものを見るかのように私を見てきた。


え?何故?


「アリス、そのような顔しているけれど、訳がわからいのはこちらの方よ。アナタは今1人で喋っているのだから」


喋るよりにも先に顔で訴えていたらしい私にこんどは女王様が私に不思議そうにそう言う。







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