君と見つける、恋の思い出
それが見つかったことで、俺たちは図書室を出た。
「これで最後までできるんじゃない?」
「うん!」
それを敷いて部誌を並べるだけだがな。
「おっと、あとは任せていい?」
彼女は腕時計を見ると、叶花に布を渡し、廊下を走ってホームルーム棟に行ってしまった。
休憩時間が終わっていたらしい。
「蓮くん、パス」
すると、叶花は俺に布を押し付けてきた。
そんなに重くないのに……
なんて思っていながら、俺はそれを受け取る。
「叶花、なにがあった」
「えー? なにもないよー?」
気の抜けた声を出しながら、一歩一歩楽しそうに階段を降りていく。
「もっと上手く嘘つけよ」
「嘘じゃないよ。なにもない」
……信じられるか。
「なにが、あった」
「蓮先輩こわぁーい」
意地でも話さないつもりらしい。
面倒になったとわかっているのにまだ聞こうとしてしまうのは、この前結斗さんにあんなことを言われたからだろうか。