君と見つける、恋の思い出


そして教えてもらえないまま、部室に戻ってきた。



中に入る前に机に布を敷く。



「ねえ、蓮くん。恋愛感情がなかったら、異性の隣にいたらダメなのかな」



窓の外を眺めながら発せられたのは、泣きそうな声だった。



……やっぱりあったんじゃないか。



「すみれちゃんに言われたの。そんなふうに見てないなら、蓮くんの隣にいないでほしいって」



先輩がちゃんに変わってる……なんてことはどうでもよくて。



あの子、いつの間に叶花にそんなことを言っていたんだ。



叶花の様子が変だと感じたのは最近。



たしかに夏休み前に告白はされたけど。


でもそれはただの自己満だって言ってた。


玉砕したかっただけだって。



それなのに。



どうして終わったのに、そんなことをわざわざ叶花に。



「私はね。誰とでも仲良くしたいの」



ありえない願いだ、とは口にできなかった。


叶花なら本当に成し遂げてしまいそうだと思った。
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