君と見つける、恋の思い出


それに、俺は今からなにもしない。


こっこに働いてもらうためにも、ここは動いておこう。



「こっこ。あのね、蓮くん、今よくないこと考えてるよ」



なんてことを言ってくれるんだ。



こっこの視線が痛い。



「わかってる。クラスTシャツ着てない時点で、やる気ないことバレバレ」



……耳が痛い。



「じゃ……頑張って」



俺は運び終えると、部室に逃げた。



ドアもしっかり閉め、中が見えないようにした。


さすがに窓は閉められなかったが。



ここの真下は昇降口で、徐々に声の数が増えていった。



部室前からはこっこの声がよく聞こえる。



「……よくやるよ」



賑やかさを増す中、俺は読書を始める。



「蓮くん!」



二十ページ程度読んだころ、叶花が勢いよくドアを開けた。



「お兄ちゃんが来たの! ちょっと任されてくれない?」



こっこ一人でどうにかなるだろ。



「こっこね、歩き売りしてていないの」



頭の中、覗いたのか。
< 146 / 240 >

この作品をシェア

pagetop