君と見つける、恋の思い出
それに、俺は今からなにもしない。
こっこに働いてもらうためにも、ここは動いておこう。
「こっこ。あのね、蓮くん、今よくないこと考えてるよ」
なんてことを言ってくれるんだ。
こっこの視線が痛い。
「わかってる。クラスTシャツ着てない時点で、やる気ないことバレバレ」
……耳が痛い。
「じゃ……頑張って」
俺は運び終えると、部室に逃げた。
ドアもしっかり閉め、中が見えないようにした。
さすがに窓は閉められなかったが。
ここの真下は昇降口で、徐々に声の数が増えていった。
部室前からはこっこの声がよく聞こえる。
「……よくやるよ」
賑やかさを増す中、俺は読書を始める。
「蓮くん!」
二十ページ程度読んだころ、叶花が勢いよくドアを開けた。
「お兄ちゃんが来たの! ちょっと任されてくれない?」
こっこ一人でどうにかなるだろ。
「こっこね、歩き売りしてていないの」
頭の中、覗いたのか。