びとうくんとさとうさん。
そのとき、開いていた窓から一気に熱を冷ますような冷たい風が吹き込んできた。
熱が冷めたようにハッと我に返って、触れていた手を引いたときだった━━━。
引いたはずの手は、わたしのほうには戻らず
いとも簡単にびとうくんの手によって強引に身体ごと引っ張られ、さっきまでの近さより、もっと近くなった。
「な、なんで……起きてた……の?」
ほんの数秒前まで閉じていたはずの瞳が、今はしっかりわたしを見ている。
わたしのぎこちない問いかけに、びとうくんは何も返してくれない。
座ったまま、ただ、こちらを見つめながら、目線をそらそうとしない。