びとうくんとさとうさん。
まただ……。胸がキュッと縮まって、騒がしくなる。
今、自分がどんな顔をしているのか、びとうくんに見られたくないし、自分でも見たくない。
目をそらしたいはずなのに、身体が固まって動けない。
さっきまで外からうっすら聞こえていた運動部の声は、もう今のわたしの耳には届かない。
びとうくんと2人っきりの空間。
少しだけ……危ないような気がする……。
「び、びとうく……」
名前を呼びかけて、
何か反応をしてほしかったのに、それを遮るように━━━。
「甘さが足りないんだよ」
と、つぶやいて、さっきよりも強く腕を引いてきて、
わたしの身体は
びとうくんに抱きしめられてしまった。