びとうくんとさとうさん。
今のわたしすごいと思う。
こんな状況だっていうのに冷静に、びとうくんと会話できているなんて。
「俺、甘いのが好きなんだよね。くどいくらい、甘いやつ」
「そうなんだ。わたしも苦いの好きじゃない……よ。甘いのが好き」
きっと、微糖って甘さじゃ足りないと思うの。
びとうくんみたいに、くどいまではいかないと思うけど。
わたしがそう言うと、耳元でクスリと笑った声が聞こえた。
息がかかってくすぐったくて、身体が一瞬だけピクッと反応してしまった。
すると、スッと身体を離しながら。