【短】ズルくて、ごめん。
「嬉しかったよ、あのとき。だからこそ、お前に彼氏ができたってのが信じられない」
他の男が葵に触れるとか、俺の知らない葵を知っていくとか、そんなの無理だ。
まして、葵の瞳に俺以外の男が映るだなんて。
「俺のこと、好きなんだろ?……だったら、なんで彼氏なんて作るんだよ」
頼むから、考え直してくれ。
そう思って肩に触れようとしたその瞬間、ドン、と胸を強く押された。
葵との距離がわずかに離れ、次に葵の顔を見たとき、俺の息は一瞬止まる。
「……さいってー…。最低、最低最低…っ!」
「ちょ、葵…っ?」
「バッカじゃないの!?彼女取っ替え引っ替えのくせに!私のこと、これっぽっちも眼中にないくせに…!」