【短】ズルくて、ごめん。



「嬉しかったよ、あのとき。だからこそ、お前に彼氏ができたってのが信じられない」



他の男が葵に触れるとか、俺の知らない葵を知っていくとか、そんなの無理だ。


まして、葵の瞳に俺以外の男が映るだなんて。



「俺のこと、好きなんだろ?……だったら、なんで彼氏なんて作るんだよ」


頼むから、考え直してくれ。



そう思って肩に触れようとしたその瞬間、ドン、と胸を強く押された。


葵との距離がわずかに離れ、次に葵の顔を見たとき、俺の息は一瞬止まる。




「……さいってー…。最低、最低最低…っ!」

「ちょ、葵…っ?」

「バッカじゃないの!?彼女取っ替え引っ替えのくせに!私のこと、これっぽっちも眼中にないくせに…!」


< 12 / 16 >

この作品をシェア

pagetop