【短】ズルくて、ごめん。
「………ほら、やっぱりね」
しばらくイチャイチャしていると、突然、俺とナオちゃんの足元に2つの影が差し込んだ。
そしてそのうちの一人の声は、よく知りすぎた心地いいソプラノ。
……なんでこんなところにそいつといるんだよ。さっきまで教室にいたくせに。
「だから言ったでしょ、優(スグル)くん。ここは青のイチャイチャスポットだって」
「あちゃ〜。さすが葵ちゃんはよく分かってるね」
「邪魔してごめんね、青。ほら優くん、空き教室にでも行こうよ。あっちなら誰もいない」
呆然とする俺たちをよそに、目の前の2人はそんな呑気な言葉を交わして、この場を離れようと背を向ける。
普通なら気にしないはずなのに、立崎がそっと葵の手を握ったのを見て、ドクンと胸が波打った。
体が自然と動いてしまう。