ねえ、きみがすき
あ、そうか……だからドアの音にも気づいてないんだ。
普通ならこんなに静かな場所でピアノ以外の音が聞こえたら目を開けるはず。
これって、今西浦くんが目を開けたら絶対驚かせちゃうことになるよね。
視線をキョロキョロさせながら、どうするべきか考える。隠れるべき?それとも教室出たほうがいい?
いや、でも、もっとこの音色を聴いていたい……
そう悩んでいれば、ピタッと音が止まった。
「あっ……」
慌てて西浦くんに視線を戻せば、バチッと重なった視線。
彼はやっぱり驚いた顔をしていた。
ていうか西浦くん──、
「その瞳の色…」