冷たい幼なじみが好きなんです


………そうだ、アキは──特進クラス。

………といっても、なにもないんだけど。

うんまあ、別になにもない。

心のなかで自己完結した………そのとき。


「──ちょっと、やめてよ……!」


女の子の泣きそうになる声が、後ろのほうから聞こえてきた。

みんなの視線がそこに集中する。


「二の腕ダルっダル!だから毎日長袖のブラウス着てんだ~まじでうけるんですけど~!!」
「この写真二宮くんに見せちゃう~!?」
「絶対幻滅されるよね~元デブだったなんて!」


──あのときと同じ光景が、そこには繰り広げられていた。


百合ちゃんと、女3人組。

あのときと同じ、3対1。


「今の写真、消してよ……!!」


百合ちゃんは3人組の真ん中に立っているリーダー各の女の携帯を奪い取ろうとした。


「は、ちょ、触んなよッ!!」

揉み合うふたり。

そのとき、百合ちゃんのスカートのポケットから、カシャン──と音を立てて床にあるものが落っこちた。

そのあるものは床の上でスライドして──わたしの足元まで、やってきた。


…………え?

これって…………。


………それは、わたしが無くしたと思っていた、遥斗からもらったチャーム時計だった。

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