あの日のあたしへグッドバイ
その日、あたしは行くあてもなく電車を待っていた。
ここから逃げ出したい一心で。

あの家を離れられるならどこでも良かった。
この状況から逃れる事ができるなら、何でもやろう。
そう思い、家を飛び出した。
大きなボストンバックに、着替え、通帳、ハンコ、それから勉強道具…生活に最小限必要なものと少しのお金だけをつめ、あたしは雨の中を走った。

ほほをつたう雫も、冷たくなって顔に張り付く髪の毛も、今日だけは気にならない。
< 3 / 6 >

この作品をシェア

pagetop