イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

お姉さんの家があるのは東京の港区。多くの荷物を抱えて小さい蓮くんと移動するのは大変だから、自宅までタクシーで帰ると安藤から聞いた。

「蓮、夜ご飯なに食べようか?」

「ハンバーグ!」

「ハンバーグか。了解」

蓮くんとお姉さんの親子の会話を微笑ましく聞いていると、あっという間にタクシー乗り場に到着してしまった。

「蓮。これ、俺からのプレゼント」

タクシーのトランクに荷物を積み込み終わった安藤が、蓮くんに声をかける。

「ありがとう!」

安藤が蓮くんに渡したのは、白い紙袋。蓮くんを私に任せて買いに走ったものだ。私が中身を尋ねても安藤は言葉を濁した。

「開けてみろよ」

「うん!」

いったい、紙袋の中にはなにが入っているのだろう……。

興味津々で様子をうかがっていると、テープで止まっている紙袋を蓮くんが勢いよく開けた。

「あっ! へんしんベルトだ!」

蓮くんが大きな声をあげる。

私に蓮くんを預けて買いに行っていたのは、これだったんだ!

蓮くんと会った初日。蓮くんはおもちゃ屋の前で変身ベルトがほしいと駄々をこねた。しかし安藤は頑として首を縦に振らなかった。

それなのに私に蓮くんを預けて内緒で変身ベルトを買い求め、別れ際にサプライズプレゼントを贈るとは驚きだ。

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