イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
ゴールデンウイーク明けの忙しい日々がようやく落ち着き、迎えた金曜日。パソコンの電源を落として「お先に失礼します」と挨拶すると営業室を後にした。
明日と明後日の土日は休み。今までなら家でのんびりと過ごす週末が楽しみだったはずなのに、今は安藤のことが気になって仕方ない。
安藤と最後に顔を合わせたのは、子育て同居を終えたゴールデンウイーク最終日。その日の夜、私は安藤に思いがけない告白をされた。
安藤に答えを求められているわけじゃないけれど、やはりきちんとした返事をした方がいいのか悩んでしまう。
どうしよう……。
優柔不断な自分にあきれつつ足を進める。すると通路の先に安藤と庶務係の木村さんの姿があった。
安藤の手には黒い営業バッグが握られている。きっと営業先から戻ってきたところを木村さんに捕まったのだろう。
「安藤くん、いつなら都合いい?」
「そうですね……」
私に背を向けている木村さんの手が、安藤の腕にさりげなく触れているのが見える。
ふたりきりで、なにを話しているの?
木村さんと親しげに会話を交わしている安藤が腹立たしい。
モヤモヤとした感情が胸に広がり始めたことを実感していると、私の存在に気づいた安藤とパチリと目が合った。
「あ、安藤。同期会のことで相談したいことがあるんだけど……」
「同期会?」
「うん。そう」
首を傾げる安藤に対して、コクリとうなずく。