イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

悩ましき旅行計画


お互いの思いを伝え合った日からすでに二カ月が経ち、朝陽の仕事が早く終わりそうなときはマンションに向かい、帰りを待つ。

「朝陽。おかえりなさい」

「ただいま」

仕事から帰ってきた朝陽と短いキスを交わすのは、あたり前。そのまま朝陽に抱えられて寝室へ直行する日もあれば、私が作った手料理を一緒に食べてリビングでまったりと過ごす日もある。

たまにくだらない言い争いをすることもあるけれど、朝陽とのつき合いはおおむね順調だ。



首都圏の夏は照りつける太陽の日差しは強く、最高気温が三十五度を超える猛暑日が続く日も珍しくない。そんな灼熱地獄からの脱出を図ろうと、夏休みを利用して朝陽と北海道旅行の計画を立てた。しかし私たちが勤務しているよつば銀行は、土日祝と大晦日と正月の三が日が定休日。

一般的な企業のように従業員が一斉に休む、いわゆるお盆休みと呼ばれるような休みはない。そのため、各係の行員が調節をして交代で休暇を取る仕組みになっている。

朝陽と北海道旅行を決めた翌日。「お先に失礼します」と営業室を出て行った鈴木さんを、慌てて呼び止めた。

「鈴木さん。夏休みについて相談があるんですけど」

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