イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「九頭竜神社に祀(まつ)られているのが縁結びの神様だから。こんなにラブラブなら参拝しなくても大丈夫だろ」
朝陽はそう言うと、握っている手の間に指を絡ませてくる。
「自分でラブラブって言っちゃうんだ」
「だって俺たち、ラブラブだろ?」
ふたりきりの旅行で気分が解放的になっている私たちにとって、普段ならドン引きするような『ラブラブ』という言葉も、今日はちっとも恥ずかしくない。
私と朝陽の仲を「うん。ラブラブだね」と認めると指をより強く絡ませ合い、箱根神社入り口となる朱色の大きな鳥居をくぐった。
パワースポットとして有名な箱根神社と、三十分ほど歩いた奥まった場所にひっそりと佇む九頭龍神社本宮を参拝する。容赦なく照りつけてくる太陽の日差しは強いものの、頬をなでる風はカラッとしていて爽やかだ。
時間に追われることなく、のんびりとしたひとときを満喫した後の楽しみはもちろん食事。芦ノ湖沿いのお蕎麦屋さんに入り、昼食を取る。そして本日二番目の目的である遊覧船乗り場に向かった。