イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
トーストをかじりながら「まあね」と答えれば、母親が向かいのイスに腰を下ろした。
「やっぱり。で? 相手はどんな人なの?」
テーブルに身をのり出して私を見つめる母親の瞳がランランと輝いている。
母親に『どんな人』なのかと聞かれた私の頭に浮かんだのは、スーツに身を包み、営業に出かける朝陽の姿。
私の彼氏である朝陽はとてもカッコいい上に、営業成績も優秀。プライベートでは意地悪なことを言って私をからかったかと思えば、甘えを見せるかわいらしい一面を持ち合わせている素敵な人……。
でも朝から母親の前でノロけるのは恥ずかしい。
「同期」
朝陽のことを短い言葉で説明すれば、向かいにいる母親の口角がニヤリと上がった。
「あら、そう。今度ウチに連れてきなさいよ」
「そのうちね。ごちそうさま」
私の恋愛に興味津々な母親の相手をしていたら、確実に遅刻してしまう。
手短に返事をすると、食器をシンクに運んでダイニングを出た。
母親を適当にあしらったのは、朝陽のことを根掘り葉掘り聞かれるのが面倒くさかったから。けれど朝陽は私の両親に挨拶したいと言ってくれた。
朝陽の誠実な思いがうれしい。
「はい。お願いします」
真っ直ぐ私を見据える朝陽に頭を下げると、甘えるように彼の腕に自分の腕を絡ませた。