イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

同期会でハプニング


横浜支店の歓送迎会が行われた翌日の土曜日。同期が集まり、朝陽の送別会が開催された。

「安藤くんが大阪支店に異動なんて、ショック~」

「今度、安藤くんに会いに大阪に行くからね」

居酒屋の二階の座敷部屋で朝陽を取り囲むように、同期の女子たちが騒ぎ立てる。

私と朝陽がつき合っていることは同期にも内緒。朝陽が女子にチヤホヤされるのを、遠巻きに見つめることしかできないのがもどかしい。

気を紛らわすために、ビールをゴクゴクと飲み干す。すると空になったグラスに、ビールが注がれた。

「ありがとう」

「どういたしまして。安藤が異動になって寂しいね」

「そうだね」

ひとりでビールをあおっていた私に声をかけてきたのは、渋谷支店の中山くん。知的な印象があるのは、落ち着いた口調と縁なし眼鏡のせいかもしれない。

朝陽の異動辞令は十月一日付。横浜支店に勤務するのも、あと一週間。十月からは支店内で朝陽の姿を見ることは、もうない。

気を緩めると泣いてしまいそうで、再びビールに口をつけた。でも普段はおいしいと感じるビールが、今日はちっともおいしくない。

これ以上飲んだら悪酔いしそう……。

ため息をつきながらグラスをテーブルに置いた。

「柴田? もしかして具合悪い?」

中山くんが眉根を寄せる。

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