イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

困惑しながら視線をさまよわせていると、朝陽の両腕が私の背中に回った。

「穂香、いい?」

私を抱きしめる朝陽の腕にギュッと力がこもる。

朝陽と最後に裸で愛し合ったのは、異動辞令が出る前。早くひとつになりたいという思いは私も同じ。でも朝陽がどんな部屋でどのような暮らしをスタートさせているのかも知りたい。

「あ、朝陽、ほかの部屋も案内してよ」

体をよじってみても、私を囲い込む朝陽の腕はビクともしない。

「後でね」

「……んっ」

短い声が漏れてしまったのは、朝陽に唇を塞がれたせい。息継ぎもできないほど、そのくちづけは深くて長い。

「早く穂香がほしい……」

ようやく離れた朝陽の口から私を求める言葉が出る。その熱い思いに応えるように、朝陽の首に腕を絡ませた。

「私も早く朝陽でいっぱいになりたい」

朝陽の言う通り、ほかの部屋の案内は後でいい。

お互いの思いを確認し合って再び唇を重ねれば、朝陽の手が上着の下から忍び込んできた。

「穂香……愛してる」

「私も愛してるよ。朝陽……」

お互いの名前を呼び合うと同時にベッドになだれ込み、一糸まとわない姿になる。

横浜のマンションで使っていたシングルベッドより、はるかに大きくてスプリングも利いた新しいベッドの上で、私は恥ずかしい声を何度もあげた。

< 157 / 210 >

この作品をシェア

pagetop