イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「穂香、泣くなよ」
「だって……」
大阪二日目の夜。眉根を寄せる朝陽の困った表情が、涙越しに見える。
泣いて朝陽を困らせるつもりはなかったのに、どうしても涙が止まらない。
「二週間後、楽しみにしているから。な?」
泣く私をなだめるように、朝陽の大きな手が頭の上にポンとのった。
次に私が大阪を訪れるのは二週間後。でも朝陽とたっぷり愛し合った今の私には、二週間は永遠に感じられるほど長い。
けれど、そんな不満を言っても朝陽をさらに困らせてしまうだけ。
「……うん」
頬に伝う涙をハンカチで拭うと、無理に笑顔を作った。
会えなかった時間を埋めるように、朝陽と何度も体を重ねた。それでも、まだ足りない。朝陽とずっと一緒にいたい。そう思ってしまう。
“もっと”を求めてしまう私は、欲張りなのかな……。
すでに二週間後に気持ちを切り替えている朝陽とは違い、ウジウジした自分が嫌になり、思わずため息をついたそのとき、東京行きの新幹線がホームに滑り込んできた。
明日は月曜日。朝陽は大阪で、私は横浜で、がんばらなければならない。