イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

朝陽が住む大阪のマンションに無事たどり着き、合鍵で玄関を開ける。

誰もいないことはわかっていても、人の家に黙って上がるのはなんとなく気が引ける。

「お邪魔します」と小さな声で挨拶すると、廊下を進んでリビングへ向かった。

今は正午を少し過ぎたばかり。でもリビングは夜のように真っ暗だ。

壁に沿って手を動かし、スイッチを探して明かりを点ける。すると明るさに慣れた目に飛び込んできた光景に衝撃を受けた。

主である朝陽がいないリビングのカーテンは閉じたまま。テーブルの上には空になったペットボトルが数本と、食べ終わったプリンとゼリーの空き容器、そして開封されていない郵便物が散乱している。

「なに、これ……」

こんなに散らかった朝陽の部屋を見るのは初めて。しばらくの間、その場で呆然と立ち尽くしてしまった。

けれど、このまま突っ立っていても部屋は綺麗にならない。

「もう……」

軽く愚痴をこぼすと部屋の片づけをするためにコートを脱ぎ、ニットの腕をまくった。

カーテンと窓を開けて空気の入れ替えをしながら、テーブルの上に散乱しているペットボボトルを手に取り、ゴミ箱のあるキッチンに向かう。しかしキッチンのシンクにも、洗ってないコップやお皿などの食器があふれ返っていた。

< 161 / 210 >

この作品をシェア

pagetop