イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
朝陽が住む大阪のマンションに無事たどり着き、合鍵で玄関を開ける。
誰もいないことはわかっていても、人の家に黙って上がるのはなんとなく気が引ける。
「お邪魔します」と小さな声で挨拶すると、廊下を進んでリビングへ向かった。
今は正午を少し過ぎたばかり。でもリビングは夜のように真っ暗だ。
壁に沿って手を動かし、スイッチを探して明かりを点ける。すると明るさに慣れた目に飛び込んできた光景に衝撃を受けた。
主である朝陽がいないリビングのカーテンは閉じたまま。テーブルの上には空になったペットボトルが数本と、食べ終わったプリンとゼリーの空き容器、そして開封されていない郵便物が散乱している。
「なに、これ……」
こんなに散らかった朝陽の部屋を見るのは初めて。しばらくの間、その場で呆然と立ち尽くしてしまった。
けれど、このまま突っ立っていても部屋は綺麗にならない。
「もう……」
軽く愚痴をこぼすと部屋の片づけをするためにコートを脱ぎ、ニットの腕をまくった。
カーテンと窓を開けて空気の入れ替えをしながら、テーブルの上に散乱しているペットボボトルを手に取り、ゴミ箱のあるキッチンに向かう。しかしキッチンのシンクにも、洗ってないコップやお皿などの食器があふれ返っていた。