イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「まさか……」
嫌な予感を覚えた私が慌てて脱衣所に行くと、そこには予想通り、脱いだままのワイシャツや下着が山のように溜まっている。
年末は仕事も忙しいし、昨日は大阪支店の忘年会だと言っていたっけ……。
きっと、ここ最近は帰りが遅くて家事に手が回らなかったのだろう。
「私は家政婦じゃないんだからねっ!」
それでも口から文句が出てしまうのは、今日がクリスマスイブだから。私が大阪に来たのは部屋の片づけをするためではなく、朝陽と初めてのクリスマスを過ごすからだ。
けれど朝陽のいない部屋で不満を口にしても、虚しさが募るだけ。
ため息をつくと脱ぎっぱなしの衣類を投げ入れて洗濯機を回す。そしてキッチンに戻り、洗い物に取りかかった。
すべての片づけを終えたのは午後一時三十分。昼食も取らずに家事をこなした私のお腹はペコペコだ。
なにか食べる物、あるかな?
ぐう~っと音を立てるお腹に手をあてつつ、冷蔵庫をあされば冷凍室にミートソースのパスタを見つけた。
きっとこれは朝陽が買った物。でも冷蔵庫には缶ビールしか入っておらず、食べられる物はパスタ以外なにもない。
後でスーパーに行って買い足しておこうと考えながら、冷凍パスタをレンジに入れるとスタートボタンを押した。
パスタを食べ終えても朝陽は帰って来ないし、連絡もない。
夜までに仕事終わるのかな……。
今夜のことが気になってしまうのは、朝陽と一緒にクリスマスイルミネーションを見に行く約束をしているから。
ソファに横になり、朝陽が早く帰ってくることを願った。