イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
話が違うことに戸惑っていると、安藤が足を止めた。
「柴田、今日誕生日だよな?」
「えっ? そうだけど……。ねえ、安藤? どうして私の誕生日を知ってるの?」
安藤の言う通り、五月二日の今日は私の二十七回目の誕生日。でも小学生のように今日が自分の誕生日だということを会社で言いふらすほど、私は幼稚じゃない。
「同期だからに決まってるだろ」
たしかに私と安藤は同期だ。けれど私は安藤の誕生日を知らない。『同期だから』という理由が納得いかなくて、安藤に食い下がった。
「でもっ!」
「柴田。オマエ、ゴチャゴチャうるさいから。今日は黙っておごられろって」
安藤は早口でそう言うと、止めていた足を一歩踏み出す。
安藤はいつ、心変わりしたんだろう。もしかして初めからお寿司を私におごるつもりだったとか?
どちらにしても、思いがけないサプライズはうれしい。
「安藤! ありがとう。ごちそうさま」
「おう」
横浜駅に向かう安藤を追い駆けて、彼にお礼を告げた。