イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
唇を尖らせて不満げに反論してみても、安藤の質問は変わらない。
意外と頑固なんだから……。
「まあ、好きだよ。ちっちゃくてかわいいよね」
安藤から質問の意図を聞き出すことをあきらめた私は、やや投げやりに答えた。すると安藤の表情がパアと明るくなる。
「そっか。それを聞いて安心した。柴田、俺と子育てしてほしい」
「はぁ?」
「だから、俺と子育てしてほしいんだって」
首を傾げる私に向かって、安藤は二度も同じ言葉を口にした。
白い歯を見せて爽やかに微笑む安藤が、なにを考えているのかさっぱりわからない。
「そもそも、順番が違うでしょ。まずはつき合って、結婚して、妊娠して、出産してからの子育てでしょ」
苛立ちながら安藤にツッコミを入れた。しかし彼も負けていない。
「仕方ないだろ。俺だっていろいろと困ってるんだから」
安藤は私に逆らうように言葉を吐き出し、顔をしかめた。
私は安藤が苦手だ。でも困っている同期を見過ごすほど薄情じゃない。それに今日はお寿司をごちそうしてもらった引け目もある。
「安藤。詳しい話を聞かせてくれるよね?」
ヒートアップしないように冷静に尋ねると、安藤から「……ああ」という言葉が返ってきた。