イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「安藤と距離を置いているらしいね」
「……うん」
私と安藤の仲を心配するように静かに語る中山くんの言葉に、コクリとうなずく。
「理由は安藤から聞いたけど、柴田はそれで納得してるわけ?」
「……正直言うと納得してない。でもひとりでがんばりたいって言われたら、どうしようもないもん」
私と朝陽がつき合っていることを知っている中山くんを前にしたらつい気が緩み、口から本音がポロリとこぼれ落ちてしまった。
しかし朝陽と距離を置いてから一ケ月が経った今でも、私はまだ現実を受け止められないでいるのは事実。
スマホが音を立てると朝陽からの連絡かもしれないと期待してしまうし、声が聞きたくて朝陽のナンバーをスマホ画面に表示させたのは一度や二度じゃない。
朝陽はひとりでがんばると言うけれど、私はいつまで待てばいいの?
以前のように朝陽と笑い合える日がいつになったら訪れるのかわからず、不安だけが胸の中で大きく膨らんでいくのを実感した。
「それなら大阪の安藤のことなんか放っておいて俺にすれば? 俺なら柴田の近くにいてあげられるし、不安にさせない」
「……っ?」
突然、とんでもないことを言い出す中山くんを信じられない思いで見つめる。
「柴田が悲しい思いをするのを黙って見ていることはできない」
「……」
返す言葉が見つからない私に向かって、たたみかけるように中山くんが言った。