イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
Stage.11
再びの子育て同居
満開だった桜があっという間に散り、スプリングコートなしでも通勤できるようになった四月中旬。仕事を終えて帰宅すると、私宛てに一通の郵便物が届いていた。
見覚えがある角ばった文字を見た瞬間、心臓がドキッと跳ね上がる。急いで封筒を裏返して差出人を確認すれば、そこには朝陽の名前が書かれていた。
いったい朝陽は私になにを送ってきたのだろう……。
逸る気持ちを抑えつつ部屋に行き、はさみを手に取ると慎重に封筒を開けた。
「えっ? なに?」
なんの知らせもなく突然届いた封筒に入っていたのは、新幹線の往復乗車券のみ。手紙やメモは同封されておらず、朝陽がどうして新幹線の往復乗車券を送ってきたのかわからない。
とにかく朝陽に連絡しよう。
そう思い、スマホを手にすると朝陽のナンバーを画面に表示させた。でも朝陽とは去年のクリスマスイブの翌日から連絡を取っていない。
もし朝陽に拒否されたら?
胸の中で不安が大きく膨らみ、朝陽のナンバーをタップすることができない。
いつから私、こんなに弱虫になったんだろう……。
ため息をついてベッドに腰を下ろしたそのとき、手にしたままのスマホが音を立てた。
着信相手は朝陽。今まさに連絡を取ろうとしていた朝陽からの着信に驚きながらも応答ボタンをタップした。
『もしもし、穂香?』
久しぶりに聞く懐かしい声が耳に響く。
「うん。朝陽、元気だった?」
『ああ、元気。穂香は?』
「……元気だよ」