イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「ああ、おかげさまで。穂香も元気そうでなによりですね」
蓮くんの頭をなでていた手を止めて立ち上がると、気まずさをごまかすように朝陽に向かって口角を上げた。
そんな私に朝陽はわざと敬語を使って嫌味を言う。
なんだか、嫌な感じ……。
「大人げないんだから……」
久しぶりに会ったというのに不機嫌オーラを醸し出す朝陽に対抗するように、小さな声で愚痴をこぼした。すると蓮くんが、私と朝陽の間に割って入る。
「もう、ふたりとも! ケンカはダメだよ」
私と朝陽を注意する蓮くんは、小さくても迫力満点。
「はい。すみません」
「ごめんなさい」
朝陽と私が口々に謝ると、蓮くんが満足そうにうなずいた。
少し会わない間に、すっかり逞しくなった蓮くんが誇らしい。
「プッ!」
「フフッ!」
朝陽と私の視線が合い、同時に吹き出す。
距離を置くと決めてから、朝陽と会うのは今日が初めて。どんな顔をして会いばいいのか不安だらけだった思いが、今は嘘のように晴れている。
「じゃあ、行こうか」
笑顔でそう言う朝陽に、私と蓮くんが「うん」と声を揃えると今日の目的地である遊園地に向かって足を進めた。