イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
日本最大級という観覧車に先に乗り込んだ朝陽が、私に向かって手を差し出してくる。
私をきちんとリードしてくれる朝陽の気配りがうれしい。
朝陽の大きな手に自分の手を重ねると、彼に続いて観覧車に乗った。けれど私がシートに座ると同時に、重ねていた朝陽の手が離れる。そして朝陽は私の隣ではなく、向かいのシートに腰を下ろした。
私を避けるような態度を取るのは、朝陽の心が私から離れてしまったから? もしかしたらこの先、朝陽から別れ話を切り出されるかもしれない……。
心の中で不安が膨らんでいくのを実感していると、朝陽が口を開いた。
「俺が観覧車に乗りたいと思ったのは、穂香とクリスマスイブをやり直したかったからなんだ」
朝陽の口から別れ話とは程遠い言葉が飛び出る。
「やり直し?」
「ああ。クリスマスイルミの代わりというか、ここからなら夜景が綺麗に見えるだろ?」
去年のクリスマスイブ、私と朝陽はイルミネーションを見に行く約束を交わしていた。でも当日にケンカをし、その約束は果たされないままクリスマスは終わってしまった。
私たちを乗せた観覧車がゆっくりと上昇する中、外に目を向ける。すると朝陽の言う通り、光り輝く夜景が見えた。