イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「でも距離を置くって強引に決めたのは俺だし、もしかしたら穂香はとっくに俺のことなんか好きじゃなくなっているかもしれないと思うと、穂香を迎えに行くのが急に怖くなって……。だから俺、また蓮をダシに使ったんだ」
朝陽がぎこちなく話す。
距離を置いている間、朝陽がなにを思い、なにを考えているのかわからず、不安ばかりが募っていった。
だから私を迎えに行くのが急に怖くなったという朝陽の気持ちは、痛いほど理解できた。けれど私に会うために蓮くんを利用したとは予想外で、思わず「えっ?」と声をあげてしまった。
「姉貴の出張は日帰りで、本当は東京の俺の両親が蓮を預かる予定だったんだけど……今回は俺が預かるって無理を言った。それから帰りの新幹線の乗車券の指定日を明日にしたのは、穂香を一日で帰したくなかったからなんだ」
ほんのりと赤く染まる朝陽の耳を見つめながら、蓮くんを預かった経緯と新幹線の乗車券の話を聞く。
まさか私の知らないところで、朝陽がそんな風に手を回していたなんて……。
「そ、そうだったんだ」という声が、驚きで思わず裏返ってしまった。
「ああ。蓮を預かるって言ったら、穂香は絶対大阪に来てくれるって思ったしさ……」
朝陽がポツリとつぶやく。