イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「姉貴の出張があるときは俺の親が蓮を預かるんだけど、ゴールデンウイークは前から旅行に行くことが決まっていたらしくてさ。キャンセルするのはもったいないからって、蓮の面倒を押しつけられた」
一気に話を終えた安藤の肩がガクリと下がった。
蓮くんを預かることになった経緯はわかったけれど、ひとつだけ腑に落ちないことがある。
「蓮くんのパパは?」
もしかしたら安藤のお姉さんはシングルマザーかもしれないし、事情があって別居しているのかもしれない。
ただの他人である私が、安藤のお姉さんの家庭事情を知りたがるのはよくない。
そう思ったものの蓮くんのパパのことがどうしても気になり、尋ねずにはいられなかった。
「姉貴の旦那の友和さんは海外赴任中。来年の夏に帰ってくる」
「あ、そうなんだ」
「ああ」
蓮くんのパパの謎を安藤があっさりと解決してくれて、ホッと胸をなで下ろす。しかし、それも束の間……。
「で? 俺と子育てしてくれるの? してくれないの?」
安藤が核心に迫ってくる。
画像で見た蓮くんはたしかにかわいかった。同期の安藤が困っているのなら力になってあげたいと思う反面、面倒くさいことに巻き込まれたくないとも思ってしまう。
「それは……」
きちんと答えを出すことができない自分が情けない。