イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「それは?」
「えっと……」
急き立てられても答えを出せずにいる私にしびれを切らした安藤が、テーブルに肘をついた。
「どうせゴールデンウイーク、ヒマだろ?」
安藤の言う通り、残念ながらゴールデンウイークはどこにも行く予定はない。
けれど私の都合も聞かずにヒマだと決めつけるなんて、失礼じゃない?
「ヒマじゃないし! そもそもどうして私に頼るの? 彼女にお願いすればいいじゃない」
頬杖をついて私をジトッとした目つきで見つめる安藤の言動が気に入らなくて、すぐさま反論した。
端正な顔立ちにスラリと高い身長。悔しいけれど、安藤はイケメンだ。そんなカッコいい安藤に彼女がいないわけがない。
私をあてにする理由がわからず、安藤をじっと見つめ返した。すると彼の口から意外な言葉が飛び出す。
「彼女なんていないし」
「へえ、そうなんだ」
「今は、な」
安藤は頬杖をついていた手で口もとを覆うと、私から視線を逸らした。
最後に『今は、な』とポツリとつぶやいたのは、強がり?
言い訳のように“今はたまたま彼女がいない”ことを強調するなんて、大人げない。
安藤に半ばあきれながら「あ、そ」と素気ない返事をすると、それきり会話が途切れた。