イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
スーパーにいる子供につい目が向いてしまうのは、明日から三日間、安藤の甥っ子の面倒を見るから。
蓮くんは人見知りするのかな? 叔父(おじ)にあたる安藤には懐いていると思うけれど、初対面である私を見て泣き出したりするかもしれない。
やっぱり安藤にきちんと断ればよかった……。
急に不安に駆られた私は母親を追い越すと、あるコーナーを目指した。
「あった。これこれ」
キンキンに冷えている缶ビールを買い物カゴに入れる。すると、あさりのパックを手にした母親が姿を現した。
「あら、珍しいわね」
飲み会ではカクテルを好んでオーダーするけれど、家でアルコールはほとんど飲まない。その私が自らビールを買い物カゴに入れたのは、蓮くんの面倒を見る不安を少しでも紛らわしたいからだ。
「お父さんも飲むよね。お母さんは?」
「久しぶりに飲むのもいいわね。おつまみも買わなくちゃ」
買い物カゴに缶ビールを入れ終わると、おつまみメニューを考えながら母親と一緒にスーパーを回った。